愛のカードなのに悲しみが~ヘンゼルとグレーテル~
私が、インナーチャイルドカードセラピーの
セラピスト養成講座に通っていた時のことです。
養成講座では、一枚ずつカードの印象を書き、
カードが意味することを丁寧に教えてもらっていました。
大アルカナ6番のカード、
「ヘンゼルとグレーテル」を学習していた時のことです。
ヘンゼルとグレーテルのカードは、
「恋愛の始まり」「結婚にも通じる愛のカード」なのです。
でも私は、このカードの印象をこんなふうに書いています。
「私と弟は、田舎の祖父母の家に来ていて、散歩に出かけます。
京都の家の近くでは見られない、大きな森に来て、
珍しい小動物を眺めています。でも、私は内心、
京都の家に居る両親の経済状態を心配しています。
弟が、お菓子の家を見つけて、『食べに行こう!』と誘いますが、
私は勝手に食べていいのかどうか、迷っています」
私は、この時、すっかり忘れていた幼い日のことを
急に思い出したことを覚えています。
私が幼かった頃、わが家は、祖父・両親・叔母夫婦で
零細な靴の受注生産を生業にしていました。
景気の良かった時もあったようですが、
大企業の大量生産に押されて、家業は先細りでした。
ある時、職場にしている部屋で父と遊んでいると、
母が血相を変えてやって来ました。
「あんた~!もう貯金がないで!職人さんにどうしてお給料払うんや!」
と貯金通帳を握りしめて叫びました。
優しい温厚な父は、困り切った顔で黙っていました。
幼かった私には、強烈な光景でした。
「うちには、お金がないんや・・・」
もともと私は、聞き分けの良い子でしたが、
それ以降は、一層、両親のことを気づかうようになりました。
デパートで可愛い服を見ても、可愛いお人形を見ても、
美味しそうなお菓子を見ても、
決して買って欲しいと言わなくなりました。言えませんでした。
家族で母方の祖父母の家に遊びに行く日のことです、
当時の私にとって待ちに待った楽しい日でした。
でも、私の心の中には「うちには、お金がない、お金がない」
と言う心配が渦巻いていました。
駅のプラットホームで電車を待っていると、
父がサンドイッチを買って来てくれました。
とても、美味しそうなサンドイッチでした。
私は、優しい大好きな父が、私たちに食べさせようとして、
盗んできたのではないかと心配で、心配で、
サンドイッチが、喉を通りませんでした。
私は、ヘンゼルとグレーテルのカードを見て、
心に浮かんだエピソードを話しながら、涙が止まりませんでした。
私は、いつも両親を気づかっていました。いつも我慢していました。
それが良いことだと信じていました。すっかりそれが当たり前になって、
私の性格になってしまったようです。
「自分の気持ちを押し込んで、ずっと生きづらい思いをしてきた原因の一端が、
ここにあったのかもしれないな・・・」
そのことがわかると、私は少し気持ちが楽になり、
スッキリ出来たように思いました。
こうしてインナーチャイルドカードセラピーで自分と向き合わなかったら、
きっと気が付かなかったでしょう。
愛のカード、「ヘンゼルとグレーテル」を学習した時のエピソードです。
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